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“URUSHI IS FAST!”
(ウルシのサーフボードは速い!) 

 世界的な木製サーフボート・シェイパー、トム=ウェグナーさんと一緒に漆塗りのサーフボードを作り、試乗した時のトムさんの感想だ。磨き上げた漆塗りの表面は撥水性が高く、水面の抵抗を減らしてボードを加速させる。
今では高級品のイメージが強い漆だが、かつては狩りや生活の道具全般に使われ、その塗膜は丈夫。たとえ傷ついても塗り重ねることができ、使い込んでいくほどに深い艶へと変化する。過ごした時間とともに深まる味わい。世界でただ一つの漆板になる。

素材

すべてが循環する理想への追求

撥水性による加速

木の樹液から作られる漆は、日本では1万年以上もの間、防水・防錆塗料として、また接着剤として人々の暮らしの中にありました。木を植え、10年ほど育ててから樹液を採取し、その木が一生を終える前にまた次の世代の苗を育てます。そのような循環するモノづくりが、千年の都の文化を支えてきました。「循環」へのヒントは、伝統にありました。

繊細な印象がある漆、でも実は、その塗膜は車の塗装よりも硬いのです。水分を取り込んだまま硬化する不思議な特質により、人の肌によくなじみます。磨き上げられた漆の撥水性は水面での抵抗を最小限に抑え、加速を引き出します。ウルシは波と一つになるサーフボードにこそ、ふさわしい素材です。

加工性と軽量性

Siitaのサーフボードで使用している木材の一つが桐です。桐は世界屈指の軽い木材である上、防水性にも優れています。加工しやすく、サーフボードの複雑な形状を精密に、シェイパーの思い通りに仕上げるのに最高の木材です。かつ20年程度と成長が早い。かつては、女の子が生まれると庭に桐を植えて、その桐で作ったタンスを嫁入りの時に持たせる風習があり、漆と同じように桐は、日本人の生活の中で育てられてきました。初夏に鮮やかな紫色の花を咲かせる桐は古くから紋章として用いられ、日本人とは関係の深い木です。

“日本の隠れた宝”

Siitaのサーフボードで使用しているもう一つの木材は杉です。学名は“日本の隠れた宝”を意味するCryptomeria japonica。戦後復興を支えるために日本中で大量に植えられたものの、1980年代以降安い外国の木材に押され、放置されている森も、多いと言います。Siitaの工房がある京北もその例外ではありません。人が関わることで新陳代謝を繰り返してきた日本の森は、伐って使ってまた植えるというサイクルを必要としています。杉は桐よりすこし重みがあり、ドライブ感を出したいロングボードを作るのにちょうどいい。そして何より木目が美しい。

スタイロフォーム機能素材の再利用

軽さと丈夫さと加工性を併せ持った素材として現在では最適であることから、Siitaでは、サーフボードの内側には使用済みのスタイロフォームを再利用しています。スタイロフォームは、一般的に畳や住宅の断熱材として使われています。たくさんのお寺がある京都で、地元の畳店や工務店と提携して、畳としては廃棄になった使用済みの断熱材を再利用することで、可能な限りの循環性を追求しています。

技術

理にかなっているから
たどり着いた伝統の技術

モノづくりにこだわったら、私たちは伝統的な職人技術に辿り着きました。
シェイパーのホドリゴ松田は、20年近く木製のサーフボードを作り続け、漆の職人の堤卓也は、明治時代から100年以上、漆の精製をしてきた家業(堤浅吉漆店)の4代目です。一本一本の木と対話し、木の声を聞くようにして削り出すホドリゴのシェイピング技術と、その日の気温や湿度などで生き物のように変化する漆に合わせて作業を進める堤の知見が出会った時、その手仕事は、効率化のための機械化には到底置き換えられないクオリティを実現します。一方で、新技術を敬遠するのではなく、手仕事の品質を超えることが可能になるのであれば、最先端の技術も積極的に取り入れる姿勢で、常に仕上がりを探求していきます。

リペアー「作る」と「使う」がつながりをもち続けること

木の木目にはひとつひとつ個性があります。その木が目一杯に浴びた夏の太陽や、耐え忍んだ冬の霜が年輪となって木目に現れます。それは、私たちのサーフボード一つ一つがもつ個性となります。そこからさらに使う人の手に渡り、馴染んでいく中で使い手との歴史が、より深い個性として刻まれていきます。だから、お買い上げは「はじまり」と考えています。使い手と一つになる道具ができあがるまで、一緒に整えていきます。Siitaでは修理とメンテナンスいたします。日常的なメンテナンスの仕方もお教えします。

オーダーメイドサーフボード

購入によって森に貢献する

『工藝の森』は、モノづくりの起点が自然にあることに着目し、『行為循環型のモノづくり』を通して、人と自然の健やかな関係性が再構築されることを目指す、私たちのビジョンです。

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